依依恋恋 | ナノ


夕方


五条先生に呼び出されたので一人で教室に向かう



「先生?」


「や!来たねマリン!ささっ座って座って」


「は、はい。失礼します」



先生が学習机に上半身を乗せながら椅子に座っていたので


隣の席に腰をかける



「パンダ達から聞いたんだけどマリンも交流会出るんだって?」


「はい!皆の足を引っ張っちゃうだろうけど、少しでも戦える力を身に着けたくて、、、」


「確かに護身術は身に着けさせようと思ってたけど交流会は恵と野薔薇が出るから人数は足りてるし、悠仁も出させるから無理にマリンが出なくていいんだよ?」



いつの間にか目元の布を外していた先生に


透き通るような青い両の目でじっと見つめられる



「私、もっとちゃんと皆と一緒に居たいんです」


「、、、、」


「一緒に居なきゃ治せないしそれに、皆との思い出ももっと作りたいから少しでも力をつけたいって、、、わがままですよね?」


「、、、んーん。いいんだよマリンはもっとわがままになって。でも無理はしないこと。マリンが倒れちゃったら元も子もないからね」


「はい」



先生が腕を伸ばしてきて少し体温の低い手で顎と頬を撫でられる



「、、、はぁ、教え子の恋路を応援する予定だったんだけどな」


「、、、?」


「僕にもこんな心かき乱されるような感情があること、教えてくれてありがとう」



そう言って頬を撫でていた手で私の髪を持ち上げて


綺麗な目を閉じて口づけされた


その一連の動作が綺麗でまるで何かの儀式をしているみたいに感じた



「先生」


「なぁにマリン?」


「先生はどうしていつも目元を隠してるんですか?」


「僕のこの眼は見え過ぎちゃうからね、脳が疲れ過ぎるのを防いでるんだ。でもマリンの事は直接見ていたいな」


「、、、綺麗」



その瞳に吸い込まれるように手を伸ばすと


先生に優しく絡め取られチュッっと音を立てながら


手の甲にキスをされてしまった


その瞬間に見つめられているのも


手を持たれているのも


手にとは言えキスをされたのも


全てが恥ずかしくなってしまって顔に熱が集まる



「あっ、あのっ、離して下さい、、、」


「、、、可愛いマリンに免じて今日はこれくらいで済ましてあげよう」



尻すぼみになっていく私の言葉を聞いて


フッと笑いながら手を離してくれた先生



「明日から真希達にしごかれるんでしょ?今日はしっかり寝るんだよ」


「、、、はい、あの、先生もたまにはゆっくり休んでくださいね」


「僕は今充分癒されたけどね、ありがとう」



目元を戻した先生と共に教室を出ると


廊下に伊地知さんが待機していた



「五条さん、お迎えに参りました」


「先生これから任務なんですか?」


「まぁ悠仁の事でも色々あるけど、少しでも怪しまれないように任務もこなさないとだからね〜」


「、、、、先生、移動中とかでもちゃんと寝てくださいね」


「ありがとう。マリンに心配されるなんて幸せだな」



先生に優しく頭を撫でられる



「五条さん、そろそろ、、、」


「ちょっと伊地知、空気呼んでよ」


「でっ、ですが時間が、、、」


「はぁ、、、行ってくるねマリン」


「はい、いってらっしゃい。お気をつけて」



ひらひらと手を振って足早に伊地知さんと去って行く先生


相当時間に追われていたのに私に時間を割いてくれたんだろうか


先程の手の甲へのキスを思い出してしまって


顔が熱くなる


夕方のまだ少し涼しい外の風を浴びながら


私はゆっくり寮へ帰った







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