依依恋恋 | ナノ




戻ってきた硝子さんの方を見ると


動いたのだ


後ろに横たわっていた虎杖君の遺体が



「おわっ!!フルチンじゃん!!」


「ごごご五ご五条さん!!いいいいいい生き」


「クックッ、伊地知うるさい」



先程まであった胸の穴が綺麗になくなっていて


血の巡っている肌色をしている


思考は追いついていないのに私の身体は勝手に動いていた



「虎杖君っ!!」


「おっと!宮内っ!?」



虎杖君に駆け寄り思わず抱きついていた


あたたかい、生きてる



「私、あの場に居なかったからっまた何もできなかったからっ」



ずっと泣くのを我慢してた分涙が止まらない


どうして生き返っているのかわからないけど
もう一度話が出来た事が嬉しくて腕に力が入ってしまう



「宮内、ありがとな泣いてくれて。でも宮内も宮内で頑張ってること俺も皆もちゃんとわかってるから。いつも何も出来ないって悩んでるけど、宮内のおかげで皆怪我が治って普通に生活出来るし、俺達は戦えるんだ。だからもう自分は何も出来ないなんて悩むな」



真希さんと同じような事を言って貰えて更に涙が出てくる


そんな私を優しく抱き返してくれる虎杖君の温もりが


彼が今生きている事を全身に伝えてくれて安心する



「そーだよマリン。場所が違うだけでマリンも悠仁も、もちろん僕や硝子だって戦ってる。誇りに思っていいんだよ。それとそろそろ離れようね。悠仁ハダカだから」


「「あ」」



五条先生の言葉にお互い少し距離をとって見つめ合うも


どう離れたら良いかわからず同時に視線を横にそらす


虎杖君の耳が赤いしきっと私の顔も赤くなってる



「ごっ、ごめんね」


「い、いや俺こそごめん、服どこだ、、、」


「はいマリンはこっち向こうね」


「わっ!」



真希さんや野薔薇ちゃんと違って
筋肉質で自分より大きな体に抱きしめられてドキドキしてたら


見かねた先生に目元を塞がれて虎杖君から離され


体を反転させられ頭と腰に先生の腕が回される



「おい五条、セクハラだぞ」


「僕はただ悠仁のゆうじが見えないようにしてあげてんの」


「そうか、、、、、でもちょっと残念」


「あのー、恥ずかしいんすけど誰?」


「まぁまぁとりあえずまずは、悠仁!おかえり!」


「ただいま!!」



きっと宿儺の器の解剖が出来なくて残念そうな硝子さんを他所に


私を抱きしめたまま五条先生が器用に虎杖君がハイファイブをする



「この事はここに居る僕達と七海以外には内緒ね」



体を離されたので先生を見上げると目線を合わせるように
体を屈めながらそう言われる


目元は見えないけど



「この事って、、、もしかして虎杖君が生きてる事をですか?」


「そう。また悠仁が狙われないとも限らないから一時的に身内からも悠仁は匿う事にする」


「が、頑張ります、、、」


「何かごめんな宮内」


「んーん、きっと虎杖君を守ると同時に今回みたいな事から伏黒君と野薔薇ちゃんも守れるだろうし、2人に嘘つくのは心苦しいけど頑張るよ!」


「ありがとな!」



硝子さんが用意したであろう服を着た虎杖君が私の頭に手を置く


その手は温かい



「はいはい!感動の再会はこの辺にして〜、悠仁は他の連中にバレない所に移動、マリンは明日恵と野薔薇が病院から帰ってくるからね〜」


「?」


「、、、五条先生、何か変だよ」



私の頭に乗っていた虎杖君の手を掴んで持ち上げて
代わりに私の頭に顎を乗せてくる五条先生


前から口調も相まって他の先生より距離感の近い先生だったが
物理的にも近くなった気がする


虎杖君もそれに気がついたのか怪訝な顔で先生を見ていた








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