依依恋恋 | ナノ






伊地知さんと虎杖君の乗ったストレッチャーを押して硝子さんの部屋に行くと
硝子さんの姿はなくて五条先生が1人で居た


でもいつもの明るい雰囲気はなくて
ピリついた空気を纏いながら座っている



「わざとでしょ?」


「、、、と、仰いますと?」



虎杖君をライトの下まで連れて行くと


黙って見ていた先生が口を開いた


いつもより少し低い声の先生に


伊地知さんも緊張した面持ちで聞き返す



「特級相手。しかも生死不明の5人救助に一年派遣はありえない」



伊地知さんに対して怒っている訳ではなさそうだが
先生が怒っているのは初めて見たので冷や汗が出てくる



「僕が無理を通して悠仁の死刑に実質無期限の猶予を与えた。面白くない上が僕や治癒出来るマリンのいぬ間に特級を利用して体よく彼を始末したってとこだろう。他の2人が死んでも僕に嫌がらせが出来て一石二鳥とか思ってんじゃない?」


「いや、しかし、派遣が決まった時点では本当に特級に成るとは、、、」



伊地知さんが完全に怯えて震えてしまっている


子供が大人の話に口を挟んでも良い事がないということは
施設に居た時に思い知っているので黙って2人の話を聞くことしか出来ない



「犯人探しも面倒だ。上の連中、全員殺してしまおうか?」


「珍しく感情的だな」


「「「 !! 」」」



五条先生の殺気に身体が震えた時、タイミングよく硝子さんがやってきた



「随分とお気に入りだったんだな、彼」


「僕はいつだって生徒思いのナイスガイさ」


「あまり伊地知をイジメるな。私達と上の間で苦労してるんだ」


「男の苦労なんて興味ねーっつーの」


「そうか。でも宮内も怯えきっていて可哀想だぞ」


「ゴメンネマリン、怖がらせたね。ここに座りな」


「は、はい!」



硝子さんが来てから五条先生の雰囲気もいつもみたいに柔らかくなったと思う
伊地知さんも感動したような表情をしているし
私も安心して五条先生の隣に座ると頭をポンポンと触れられた


先生の言う通り


先生は生徒思いでその生徒の為に怒っていたのがわかるから
いつもと違う雰囲気には驚いたけど改めて良い先生だなと思った



「で、コレが宿儺の器か。好きにバラしていいよね」


「役立てろよ」


「役立てるよ。誰に言ってんの」



バサッっと硝子さんが布を捲ると


青白く、血の気を失った虎杖君の遺体が現れた


胸の辺りに赤黒い穴が空いている







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