依依恋恋 | ナノ
その後なかなか皆と会えず
私も硝子さんも治療の為の移動が増え
梅雨も相まってか一般の方にも被害が増え
今までで一番呪力を使っていた
「この方もお願いするっす!」
「っはい!」
軽症の方が多いとは言え何件かの病院を回ることが数日続き
移動とこまめに呪力を使うことにより今日は軽い目眩がしていた
「、、、宮内さん?大丈夫っすか??」
「はい、終わりまし、、、た、、、っ」
「宮内さん!?宮内さん!!!」
一般の方への治療が終わり、立ち上がろうとした時に視界が歪んで目が回り
身体が言う事を利かなくなってしまった
新田さんの声を聞きながら身体に強い衝撃を感じた
「ん、、、、」
気がつくと眼の前には見慣れた天井が広がっていた
誰かが寮まで運んで下さったみたいだ、、、
私は皆のように戦って誰かを助けたり守ったり
硝子さんのように外科的な知識も合わせて何かに生かすことも出来ないどころか
術式の解析も出来ない
ただ治療する事しか出来ないのに、それすら出来ないなら
何も出来ずに人の顔色を伺いながら、ただ時間に流されながら生きていたあの頃と何も変わらないじゃないか、、、
また眠っていたらしく少し眩しさを感じてゆっくり目を開くと
部屋の電気がついていて真希さんが居た
「お、起きたな。大丈夫か?」
「真希さん、あの人は、、、?」
「あの人?、、、あー!治療し終わってからマリンが倒れたって聞いたから大丈夫だと思うぞ。それよりマリンは大丈夫なのか?」
「私、私は沢山寝たので大丈夫です。ありがとうございます」
「なんだ?いつもより元気ないな。私で良ければ話聞くぞ」
「、、、、」
「ほら!言えって!」
「私、戦えないのに治すのも出来なくて、、」
「なーんだそんな事かよ。あのな、他の奴も言ってるが反転術式なんて一部の人間しか出来ないんだよ」
「でも硝子さんみたいに、」
「でももだってもねぇ!硝子さんは硝子さん、マリンはマリンだろ!それに硝子さんは大人だし多分自覚した時から呪力使ってたんだ。マリンは隠しながら生きてきてまともに使うようになったのも最近だろ?そりゃ何事も慣れるまで時間がかかるんだ、マリンのペースで1つずつ出来るようになればいいんだよ」
「ま、真希ざん"っ」
「おー泣いとけ泣いとけ。んでスッキリしろ!」
「はいっ」
「それにな、マリンが居てくれるおかげでしんどい任務も生きて帰りさえすりゃなんとかなるって励みになるんだ。私らは私らの場所で戦う。マリンはマリンの場所で戦い続けろ」
「うううぅっ」
力強く、でも優しく抱きしめてくれる真希さんに
昔大泣きした時におばあちゃんに抱きしめて貰った事を思い出した
何で泣いたかなんて思い出せないけど
抱きしめられただけで酷く安心した事だけは覚えてる
「真希さんっ」
「んー?」
「大好きです」
「、、、、そーかよ」
真希さんが笑いながら背中をポンポンと叩いて離れていく
「まぁまた何か悩んだら私でも恵でも棘でも、誰にでもすぐ吐き出せよ?」
「はい!」
「よっし元気になったな。私は部屋戻るからもう少し寝とけ」
「はい、おやすみなさい真希さん」
「おやすみー」
真希さんが出て行く音を聞きながら目を閉じる
さっき寝た時より胸の辺りのモヤモヤがなくなった
先輩の偉大さと温かさに、諦めずに頑張ろうと思えた
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【CLAP】
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