依依恋恋 | ナノ




怒っている新田さんに謝りながら車に乗り込む


何も言わずに伏黒君が助手席に座ったから
後ろに座って毒や怪我の状態が酷い野薔薇ちゃんの治療をした


やっぱり虎杖君には治療を断られてしまった


皆疲れていたからか眠ってしまい
寝れなかった私は行きと違って静かな車内に寂しさを感じた


高専に着いても伏黒君と話すことなく寮に戻って来て


やっぱりあの時結界から出た方が良かったのかもと後悔し始めた
私が治療しなくても伏黒君はあの呪霊を倒せたし
私が居ない方がもっと戦いやすくてあんなに痛い思いしなくて済んだかもしれない


破れてしまった制服を着替えたけど


昨夜寝てないのに眠気もなくて
用事もないのになんとなく高専に向かう


階段を登って廊下に出ようとした時、声が聞こえてきた



「オマエが俺を取り込んだ!目覚めたんだよ切り分けた俺の魂達が!大勢のケヒッヒヒッ人間を助けるか!小僧、オマエがいるから人が死ぬんだよ!!」


「おい、それ伏黒に言うなよ」



声も足音も近づいて来てたのに
私はそこから動けなかった


近づいてきた足音が止まる



「虎杖君」


「宮内、、、」


「ごめんね、聞こえちゃった」


「そっ、か、、、」


「虎杖君。人が死ぬのは人に心があって、呪いが生まれるせいだよ」


「、、、、」



虎杖君は傷ついているだろうに
何でもないような顔をしてる


きっと今の虎杖君にどんな言葉をかけても
何の慰めにもならないと思う


でも宿儺の呪いの言葉で虎杖君が1人傷つくのは嫌だった



「人が人である以上、呪いが呪いである以上また人は死ぬ。でもそれは誰か個人のせいなんかじゃないしましてや伏黒君を助けた虎杖君のせいでも虎杖君を助けた伏黒君のせいでもないよ」


「、、、、ありがとう」


「ううん、、、」



虎杖君の顔からは先程まで浮き出ていた宿儺の顔が消えていた


虎杖君が止めていた足を再び動かす



「ごめん宮内、、、、少しだけこうさせて」


「うん」



虎杖君に正面から抱きしめられる


虎杖君の身体が少し震えていて
背中をそっとさすれば私を抱きしめる腕に力が入れられる


きっとこれからも虎杖君は自分を責めるだろうし
この事を知ったら伏黒君も傷つくだろう


2人の優しさに付け入るように生まれる理不尽を
祓いたいのに私には祓えない


だからせめて側で支えてあげたい


沢山助けてくれる皆の傷ついた心も癒せる日は
来るんだろうか







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