依依恋恋 | ナノ


伏黒視点




「宮内っ、オマエだけでも逃げろ!!このままじゃ2人とも死ぬ!!」


「伏黒君だけ置いて行きたくない!!」


「俺じゃアイツは祓えない、頼むから結界から出ろ!!」


「嫌だよ、私もここに残る!!!」


「オマエがここに居ても意味ねぇって言ってんだよ!!」



いつも誰の言う事にも逆らわない宮内がこんな時に俺の言う事を聞いてくれない


焦りと苛立ちで思ってもない言葉を吐き捨ててしまった


家入さんの元に行くまで腕の治療は出来ないが
最悪虎杖達と合流してくれれば両腕が無くても生き残る確率が上がるんだ


相変わらずムカつく顔の呪霊は余裕そうにのんびり近づいてくるのに


宮内が居たら調伏の儀を始められない



「ねぇ伏黒君。私を地獄みたいな生活から救い出してくれて、沢山の良い人に出会わせてくれて、沢山優しくしてくれて、守ってくれて、ありがとう。私足手まといだってわかってるけど、伏黒君を1人でここに残してまで生きたくないよ」


「っ、」



出会った時もそうだ


先に助けてくれたのは宮内なのに
俺にありがとうと言って笑うんだ


恋なんかを意識してからも、好きな部分しか見つけられず
俺の下心にも気づかずに笑いかけてくれる宮内に惹かれ続けた


今だって酷い言葉を投げつけた俺に笑って側に居ようとしてくれる



「それにまだ一緒に水族館、行けてないよ?」



こんな場所で死なせるはずじゃなかった


いや、そもそも死なせるつもりで高専に誘ったんじゃない


家入さんのように安全な場所で
人を助けながら人に必要とされ、能力に見合った扱いを受け
"あの場"より良い人生を歩んで欲しかったんだ


だから多少強引に"こっちの世界"に誘い込んだ


俺がアイツを倒さねぇと宮内も俺も死ぬ
多分距離的にアイツは先に宮内を俺の目の前で殺すだろう


両腕を失って反転術式が使えなかったとしても
例え不自由になってしまっても
俺は宮内に生きていて欲しい


笑ってほしい


だから



「やめだ」


「!!」


「??」



影の奥行きを全て吐き出す、、、


具体的なアウトラインは後回し
呪力を練ったそばから押し出していけ



「やってやるよ!!」



"領域展開"





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