依依恋恋 | ナノ




ジャリッという小石を踏む音で目が覚めた


いつテントに来ていつ寝たのか覚えてないけど
テントの中を見渡すと真希さんも野薔薇ちゃんも静かな寝息を立てていて


テントの外も静かだからきっともう夜中だと思う


先程の足音から、誰かも目を覚ましてテントを出たのかなと


私も2人を起こさないようなるべく静かにテントを出ると


伏黒君が川の方へ歩いて行くのが見えた


そっと後を追うと気づいていたのか
木々を抜けたところでこちらを向いて立ち止まってる伏黒君



「伏黒君?」


「悪い、起こしたか?」


「ううん、たまたま目が覚めてテント出たら伏黒君が見えたの」


「そうか」


「うん。伏黒君は?大丈夫?」



そう聞くと少し寂しそうな表情になった伏黒君に
正面から抱きしめられてしまった



「京都、行ったんだってな」 


「う、うん、歌姫先生のお手伝いで行ったよ」


「加茂さんとか、、、、他の人にも会ったのか?」


「うん、用事はすぐ終わったんだけど歌姫先生に泊まってけばって言われてそれで、京都校の寮で何人かに会ったよ」


「京都校に、、、転校しないよな?」



少し弱ったような声に胸がキュッとする


私が居なくなったら寂しいと思ってくれたのかな、、、



「元々お手伝いで呼ばれただけだし、私は東京校の皆と居たいから行かないよ。またお手伝いで呼ばれるかも知れないけど、、、」


「そうか」


「うん。伏黒君も、東京校にずっと居てね?」


「あぁ」



伏黒君の私を抱きしめる力が少し強くなる



「なぁ今度、どっか行かないか?、、、2人で」


「うん?私でいいの?」


「宮内がいい。逆に宮内は俺と2人でいいのか?」


「もちろんだよ、この間の映画のお礼もしたいし」


「いいよあれは。俺が払いたかったし」


「でっでも」


「水族館とかは?」



少し身体を離して私の表情を伺う伏黒君


多分映画の時のお礼はさせて貰えなさそう



「うん、、、」


「、、、、興味ない?」


「んーん、ただ学校の行事以外で行ったことないから大丈夫かなって」


「俺もそんな感じだし大丈夫だろ」


「そうだね、伏黒君が一緒だから大丈夫だよね!」


「、、、あぁ」



伏黒君が居るならどこに行くのも心配要らないだろうなと
首だけ動かして見上げると


真剣な表情の伏黒君にじっと見つめられていて
ドキッと心臓が大きく脈打つ



「あっ、あの、、、」


「ふっ」



何だか緊張してしまい思わず目を逸らすと


優しく笑った伏黒君にもう一度ギュッと抱きしめられてしまった






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