依依恋恋 | ナノ





「でもそれはもう使わないで」


「、、、治癒をですか?」


「んーや、後天的な傷病に対しての治癒は良いよ。でも"元から"のにまで手を出すときりがない」


「、、、、」



正直、他言無用でなければ過去の傷が残ってる人達も治したかった



「僕達には言わないだけでマリン、何か隠してるでしょ」


「っ、」


「やっぱり。そもそも硝子だって状態によっては完治させられないモノをマリンは完治させてる、、、僕にも術式は教えられない?」


「教え、たら、怒られちゃうかもしれないので、、、」


「怒らないよ。教えてくれないと怒っちゃうかもしれないけど」



口調は軽いけどそっと見上げた五条先生の表情はいつもより真剣で
一見怒ってるように見える



「その、、、寿命を使った分だけ治せます」 


「、、、そんな気がしたんだ」


「でっでも、亡くなった方の寿命を引き継ぐ事も出来るんです!それを私自身の寿命に加算は出来ないけど治癒する呪力に変換できます、それで今まで治療してました!」


「、、、本当に?」


「ん、はい」



ぎゅっと私を抱きしめる腕に力が入った五条先生


頭の後ろに手を回され先程より身体が密着したせいで表情を伺えない



「他の誰かを助ける為に死んだら、許さないから」



五条先生の声がいつもより低くて思わずビクッと震えてしまった


優しく頭を撫でられそっと身体を離される



「ね、マリン。約束」


「、、、、はい」



声色が優しくなった五条先生が少し寂しそうに笑うから


胸が苦しくなる



「そんな顔させたかった訳じゃないんだ。僕はただ、マリンには笑ってて欲しい」


「私も同じです。五条先生にも笑って過ごして欲しいです」


「僕は、、、、ごめん、ちょっとだけこのままで居させて」



もう一度ぎゅっと抱きしめられて苦しい


でもただ抱きしめられてるから苦しいんじゃない


先生が弱って見えてしまって、辛そうに見えてしまって苦しい



「僕を1人にしないでね」


「はい」



酷く寂しそうな先生の声に


胸の奥がもっと苦しくなってしまった





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