依依恋恋 | ナノ




「だいたいの事は歌姫から聞いたよ」



京都から帰ってすぐに五条先生から呼び出されてしまった


アイマスクをしていない先生の綺麗な瞳に真っ直ぐ見つめられる



「与先輩の身体を治して思ったんです。もしかしたら宿儺は私に自分の身体を新しく作って欲しいのかもしれません、、、」



生きていて身体の半分以上が存在していたとは言え
元々無かった片腕と両膝下を新たに作れたという事は


宿儺の指から新たに身体本体を作る事も不可能ではないのかもしれない
そう考えてしまったせいで京都では全然眠れなかった



「そんな状況には僕がさせないよ」


「でもそしたら虎杖君の死刑は無くなりますよね?」


「それで一時的に悠仁の死は免れるだろうけど、自由な肉体を得た宿儺がその後悠仁を殺さないとも限らない。後々また悠仁に取り込まれてしまうのを防ぎたいだろうしね」


「、、、、、」



確かに、虎杖君の身体から私が作った身体に移動した直後
不要になった私や、宿儺を縛る事が出来る虎杖君が殺される可能性は高い


少なくとも人を治癒出来る私は邪魔でしかないはずだ


私や硝子さんが殺されてしまったら治療出来る人間が減り
術師側が不利になってしまう


向かい合っていた五条先生にそっと手を握られ
先生が私の事を心配してくれているのが伝わってくる



「ごめんねマリン、僕が君の術式をただの反転術式じゃないって気づいていれば、、、」


「いえ!私も知らなかったし誰も違和感無かったみたいですし、、、」


「でも問題は今後だ。パンダの事もメカ丸の事も一部の人間しか知らないとは言え、いつか情報が漏れた時その力は、マリンは必ず狙われる」


「歌姫先生も与先輩も他の人には伝えないそうです。与先輩は御本人として京都校の人に会いたかったはずなのに、、、」


「先天的な傷病を治せる術師が居るって事が広がればきっと日本だけじゃない、世界中の呪詛師や呪霊に狙われてしまうからね」


「でも、宿儺が誰かに話したら、、、」


「マリンの仮説が正しいのであれば、自分の肉体を創らせる妨げになるような事しないと思うよ。けど急に今までと違う動きをすれば身内にも怪しまれる、だから今まで通りにして貰うしか無いね」


「は、はい」


「だいじょーぶ!僕も出張以外はなるべく高専に居ることにするし、葵のおかげで悠仁も更に強くなった。もう2人で会っても良いだろうしそれに、マリンも強くなったって事でしょ」


「えっ?」


「ただの反転術式じゃないってのはビックリだけど、先天的なモノも治せるって人の心すら救える良い術式じゃない?」


「わっ!」



繋がれていた手を引かれて
先生に抱きしめられてしまう





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