依依恋恋 | ナノ




「、、、無意味だと言ったのに連れてきたのか」


「やってみなきゃわからないでしょう」



歌姫先生が声をかけたのはその浴槽のような物に入っている
包帯で全身を覆った男の人だった



「はじめまして、東京校の宮内マリンです」


「、、、一応交流会で会っただろう」


「ごめんなさい、、、」



姿が違うとは言えこの人はロボットの先輩だった、、、



「これは天与呪縛。治すものではないんだ、帰ってくれ」



先輩の言う通り


私は生きている人の後天的な傷病しか治療したことが無い


先天的に右腕と両膝下が欠損している上、下半身の感覚が無く
光で肌も爛れてしまうと聞いていたからある程度覚悟はして来たけど


予想以上に暗い部屋で全身を包帯で覆っている状態の先輩を見て
無駄な希望を持たせてしまったかもしれないと申し訳ない気持ちになる



「でっでもせっかくなので、試すだけ試してみても良いでしょうか、、、?」


「好きにしろ」



与先輩の側に寄りしゃがみながらお願いすると
ギロリと視線をこちらに動かし、だけど呆れたような少し優しい声色で許可して貰えた



「、、、、、」


「、、、、、」


「、、、、、」



歌姫先生に見守られる中、先輩の身体にそっと手をかざす


私の送った呪力はまず、恐らく全身の傷んだ肌を治しはじめた



「うっ、」



肌を治し終わり身体の内側の、神経や筋肉、細胞へ呪力を流しはじめたせいか
先輩が辛そうな表情をする


欠損部分が包帯の中でどういう状態だったのかわからないけど
私が呪力を送れば送るほど蹲るように先輩が苦しみだしてしまったので
思わず力を弱める



「やめ、るなっ!!」


「は、はい!」



酷く辛そうながらも続けるよう言われたので
もう一度呪力を送る


普段治療する時よりも呪力の消費、寿命の消化が早くてじわりと額に汗が出てくる



「うっ」


「ぐ、、、うぅっ!!」


「こ、これって、、、」



呪力を送り続けていたら途中で弾かれてしまい
思わず先輩を見上げると


声から察するに激痛に耐えられなかったのか立ち上がっていた


そう、両足で立っていたのだ





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