依依恋恋 | ナノ




「、、、それは本当に友達なのか」


「っ!!」


「普通友達に自分の忘れ物を夜中に1人で取りに行かせないだろ」


「それは、、、」


「そのままで良いのか」


「で、でも、、、」


「東京に、俺やお前のように呪いが視えてその呪いと向き合う方法を教えてくれる学校がある」


「呪い?」


「さっきの化け物の事だ。あれは呪い。人の感情から生まれた呪いが更に人の負の感情を吸って力を持つ。それを俺達は呪霊と呼んで祓い、視えない人達に被害が及ばないようにしている。そうやって呪いを祓う人間の事を呪術師と呼んでいる」


「、、、、」


「その中でも、お前みたいに他人の怪我を治せる反転術式を使える人間は多くない、というか稀少だ。俺も来年からその学校に通うがそこでは視えないふりも力が使えないふりもしなくて良い。そしてその力できっと多くの人間が救われる」


「、、、東京にあるんですか?」


「あぁ、呪術高専は表向きは宗教系の学校として存在する高校だ。だが全寮制だからお前の親から許可が出れば、になるが、、、」


「私、家族が居なくて、でもお金も無いのでその学校に通えるかどうか、、、」


「、、、高専で与えられた任務を達成すれば報酬として給料が貰える。特に反転術式なんて需要しか無いから金銭的援助も受けられると思うぞ」



プルルルルルルルッ



「!!」


「チッ、もしもし、、、、回収しましたよ、というかどこに居るんすか!、、、、いや、校舎が少し、、、、」



突然男の子のスマホが鳴り誰かと電話をし始めてしまった


他にも視える人と出会えただけでも驚いたのに


私の力が堂々と使えて誰かの為になるかもしれない


この苦しくて孤独な世界から抜け出せるかもしれない話を聞いて


心臓がいつもより早く動いてる気がする



「、、、、いや治して貰いました、、、名前は?」


「あっ、宮内マリンです」


「宮内マリンっていう、、、恐らくここの生徒です、、、はい、、いや、知らなかったみたいです、、、、聞きましたよ」



電話の相手に私の話をしているみたいで黙って聞いていると


男の子は再び私の目を見た



「で、どうする?お前も高専に来るか?それともこのまま周りに隠しながら生きるのか?」



虐められるのも、大人の顔色を伺って我慢するのも


孤独な想いをしながら視えているモノを視えないふりをして耐えるのは怖いし苦しい


この地獄から抜け出したい


さっき彼が戦っていたのを見て、そちらもきっと優しい世界ではないのだろうけど


それでも私の中で答えは決まっていた



「行きたいです」


「、、、、だそうです」



そうして彼は電話先の相手と軽く何か話してから電話を切る



「すぐ迎えが来る。まだ中学生だろうから高専にすぐ入学は出来ないが、これからについて話すことになると思う」


「、、、はい」



そうして彼、意外にも同い年らしい伏黒恵君に連れられて


学校の外に出ると真っ黒な車が止まっていて


中には眼鏡の男性が乗っていた



「、、、伊地知さん、五条先生から連絡行きました?」


「はい、伺っております。宮内さんよろしくお願い致します」


「よ、よろしくお願いします!」



伏黒君と共に車に乗るとすぐに走り出した


もう外は薄っすらと明るくなってきていた


不思議と眠気はなくて


見慣れたはずの風景がいつもよりクリアに見える気がする


私の新しい人生のはじまり





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