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「確かに魔力は人より弱いが、お前は飲み込みが早いから教えやすいな」


「ありがとう、ランス君の説明がわかりやすいおかげだよ」



父がどこからか手配してくれた先生は同い年の男の子だった


レイン様と同じイーストン校に通っているそうで
やむを得ない事情でご家族に金銭支援など頼めない為
ご家族には知らせないという約束の下
私の家庭教師を引き受けてくれたらしい



「生活で使えると役に立つ魔法は全部俺が教えてやる。安心しろ、そして俺に教わるんだ自信を持て」


「うん、、、本当にありがとう」



今まで縁のなかった言葉を言われた上
真剣に向き合ってくれるランス君に
鼻の奥がツンとして泣きそうになる


父が手配した先生だからきっと厳しくて冷たい人だと思ったが
同い年なのだから敬語はやめろと言って貰えたのも嬉しかった


現役の学生さんということもあって流石に毎日は呼べないので
放課後の2時間、週に2日から3日程自宅に来て頂いて
基礎的な魔法と魔法薬学を教えて頂くことになっている


「金銭的な援助はありがたいが、俺は正直魔力なんかで他人の価値を決める魔法界の考え方が嫌いだ」


「、、、、」


「お前の親や俺の両親のように家柄や地位を意識し過ぎている奴は、自分の娘にすら無慈悲な判断を下す。だがそんな真の人間の価値を見出せない奴らに負けるな。お前はお前らしく居て良いんだ」


「で、でも、、、」


「俺が神覚者になったらこの世界の仕組みを変える。神覚者との見合いが決まって断れない現状は変えてやれないが、お前が逃げ出したくなった時に逃げられる選択肢を作ってやる」



ランス君の話を聞いて気付いたが


レイン様との結婚は正直不安だらけで怖い
だけど不思議にも嫌ではない


1度しか会った事がないしその時もたいして会話が出来たわけではないが
本当に逃げ出したくなるほど嫌ではなかった


居場所の無い実家から逃げ出せるからかもしれない
レイン様に頂いた手紙の雰囲気が優しかったからかもしれない


どちらにせよ、父の決断を覆す事は出来ない


もし万が一レイン様と結婚しても今と状況が変わらない
もしくは酷くなってしまったとしても
ランス君という心強い味方が居るんだと知って
今までよりも頑張れる気がした



「わからない事があればいつでもフクロウさんを飛ばせ」


「うんありがとう。気をつけて帰ってね」


「あぁ」



意外にもフクロウさん呼びで癒やされる


今まで自信が無かったせいか苦手だった勉強も
楽しく思えてきたし
今日はとってもいい日だ


窓からランス君が父に送られていくのを見届けて
私はもう一度自分の部屋の机に向かい
次会う時までにやっておくように渡された
ランス君お手製のテキストを開いた




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