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私が長期遠征から帰ると


弱った様子の五条君に抱きしめられた



「傑が離反した」


「うん、、、向こうに居る時に聞いたよ」


「お前は俺の側から居なくなるんじゃねぇよ」


「、、、うん」



傑君が非術師やご家族を殺害し姿を消したと連絡が来た時は


何も信じられなかった


でも最後に会った時彼がふと見せた暗い表情や


以前私と硝子ちゃんが参加しなかった天元様の任務の後の傑君を思い出せば


あぁ、何でもっと気にかけてあげられなかったんだろうって後悔があって傑を責める事は出来なかった


高専に入ってから私よりも一緒に居た五条君の方が後悔や絶望が大きいに違いない



「マリン」


「うん?」


「お前は、居なくなんなよ」



もう一度そう言う五条君の腕に力が入る


そっと腕の動く範囲で抱きしめ返すと五条君の身体が揺れた


傑君の側には今、誰か居てくれてるのかな



「傑に呼ばれても行くな、俺に言えよ」


「うん、」



まるで思考を読まれていたかのように傑君の名前が出て声が少し上ずってしまった


そっと身体を離した五条君の顔は複雑そうに歪んでいて


いつも以上に何を考えているのかわからない


ちょっと背伸びをして彼の綺麗な髪を撫でると


驚いた表情をした後縋るような目を向けながら私の手を取り、歩き出す五条君



「ごっ、、悟君!何処行くの??」


「、、、俺の部屋」


「えっ?な、何で!?」


「側に居てくれんだろ」


「う、うん、、、そうだけど」


「、、、俺は上辺だけの言葉は要らねぇから」



そう言って五条君の部屋に連れて行かれ


半ば強引に抱かれてしまった


きっと五条君は私や硝子ちゃんや夜蛾先生が思ってる以上に辛かったんだと思う


だから側に居てあげたいと思ったのは確かで


気を紛らわせられるなら


そう思って身体を差し出した自分も悪くて


自分の中の小さな後悔に気づかないようにしながら五条君に接した


それに気づかれてしまったのか、その後の五条君は残酷なくらい私に優しかった


私は結局五条君の心を救う事は出来なかったのかもしれない




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