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「あの、、、怖いです、五条君」


「五条君ヤメロって言ったよな?」


「ひっ!ご、ごめんね悟君」



同級生の五条君に突然壁まで追い詰められて


壁に手を付きながら高い背を屈めて顔を見つめられる


世の人々の言う壁ドンとやらは実際は全然ときめかない


心拍数は上がるけど恋とは関係なく


サングラスの上から睨むように鋭い目で見られて


怖くないわけがない


階級も術式も眼力も全てが強くて怖いのに


クセで名字で呼んでしまってさらに目つきが鋭くなった



「オマエさ、傑と「またマリンをいじめているのかい悟」


「傑君!!」


「あっ」


「おっと!、、、怖かったね、可哀想に」



幼馴染で同じ高専に通う傑君の元に駆け寄ると


しっかり受け止めて抱きしめてくれる傑君


小さい頃から同い年なのに落ち着きがあってお兄ちゃんみたいな彼の腕の中はとても安心する



「離せよ」


「、、、マリンから来たんだ仕方ないだろう?」


「だからっ」



五条君と傑君が言い合いしそうになった時


五条君のケータイのバイブが鳴った



「、、、おっ!最近知り合った女の子からお誘いメール来たからデートしてくるわ」



傑君の腕の中から出て五条君の方を見ると


ケータイから顔を上げて私の方を見ていた


ちゃんと挨拶しないと怒られてしまうかもしれない



「い、行ってらっしゃい楽しんできてね!」


「ぶっ」


「チッ」



傑君には吹き出され五条君には睨まれた挙げ句舌打ちされてしまった



「あ、あの、、、」


「放っておきなよマリン。素直じゃない悟が悪い」



怒った顔のまま五条君は歩いていってしまった


また今度会った時に怒られてしまうかもしれない、、、



「わ、私何で五条君に嫌われてるんだろ、、、弱いからかな、、、」


「、、、、嫌われてる訳では無いから安心しなよ」



いくら幼馴染でも困ったように笑う傑君の言葉に


私は全然安心出来なかった





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