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遠くで蝉が鳴く音が聞こえる
「灰原は上半身、マリンは右手しか残らなかったらしい」
少しトーンが低くなった硝子の声が聞こえる
「ふーん、そっか、、、」
「大丈夫か?五条」
「なんで?よくあることだろ」
「、、、そうか」
懐かしい夢を見た
傑が高専を去る前
後輩が2人死んだ日
そのうちの1人が追いかけてくる足音が聞こえなくなった日
「昔の夢を見るとか、僕も歳かな、、、」
自宅のソファで寝落ちしてたらしい
全く、いつだって人使いが荒い職場だ
流石に身体も疲れる時は疲れる
起き上がって少し伸びてから寝室に向かう
「ごめん、向こうで寝落ちしてた」
ベッドの上の小さな膨らみに声をかける
電気を消して、掛け布団を持ち上げ
酷く小さな手を優しく握る
「おやすみ、マリン」
返事も無ければ握り返してくれる事もない右手は
今日も少し冷たかった
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