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「お前さぁ」


「げっ」


「おい聞こえてんだろ、逃げんな」



七海君との任務から学校に戻り
怪我のせいか、ちょっとぼーっとしてる間に消えた七海君を探していたら嫌な声が聞こえた


逃げようとすると制服の首元を掴まれて強めに引っぱられる



「ナ、ナニカゴヨウデスカ五条先輩」


「んだよその話し方、つーかお前何してんの?」


「どこかへ消えた七海君を探してます、、、」


「ふーん」



普通の女子だったら、背が高くて顔の良い男子に体を引き寄せられれば
勝手に心まで引き寄せられてしまうだろうが
私の場合は違う


引き寄せられてるなんて表現が相応しくないくらいには
強い力で文字とおり首根っこを掴まれているのだ
なんなら首が絞まってる



「お前さぁ」


「あっはい」


「自分の術式で一時的に痛覚を無くせるからって、それ頼りで呪霊突っ込んでんじゃねーよ。結局負傷したら何のメリットもねぇだろうが」


「、、、何でそれ知ってんすか?」


「毎度ボロボロなの見りゃわかるし、七海から聞いた」


「あの七三睨みつけ男ぉ、、、」


「お前誰よりも弱いのに突っ込んでったって何の役にも立たねーし逆に足手まといだから。呪術師向いてねーから」


「急に飛び込んでこられたら呪霊だってびっくりするだろうし、その隙を同行術師に突いて貰おうと思ったんですぅ」


「うっわ、お前弱いだけじゃなくて頭も悪いのかよ。呪力あるとは言えよく入れたな、高専っ」


「ぅぐえっ」



私の制服をつかんだまま腕を動かされる
術式以前に体格差があるこの人からしたらおもちゃの一種程度にしか思われてないんだろうな
てか強いんだから一々格下に突っかかってくんなよ性格悪い


とは口が裂けても言えず
されるがまま、首が絞まらないように前側の首元を両手抑える
なけなしの抵抗しかできずにいた



「お前ほんと、辞めろよ呪術師。死ぬぞ」



私の術式は外傷による痛覚を一定時間消してくれるのに
精神的な痛みは全く消してくれない
傷つくってわかっててわざと言われてる事を理解しているのに
まんまとその痛みを食らう自分が悔しい



「、、、先輩からしたら、皆弱いじゃないですか」


「あ"?そん中でもお前はトップクラスだって言ってんだよ」


「私に限らず、呪術師やってたら多分、いつか皆死にます。でもそれをわかってて皆呪術師やってるんです」


「、、、」


「なのに、弱いから駄目だとか、頭が悪いと駄目だとか、そんなアホな理由で私の覚悟を否定されたくないです」


「俺は、別に、、、」




先輩の言う通り頭が悪いなりに自分の気持を吐き出すと
これまた悔しいことに涙が溢れてきた
実際薄々自分でも感じていた痛いところを突かれて
それに対して言い返せないのも悔しいし
私の涙を見たらさっきまでみたいに強気な事を言ってこない上、絞まるように上げられていた腕を緩めた五条先輩の優しさも悔しい
先輩が言う事も間違ってないんだから
いっその事本格的に性格悪かったらいいのに
こうやって垣間見える優しさが苦手だ
考えてるのは脳なのに、胸の辺りがキュッとして痛い、苦しい


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