2




「マリンちゃん、このジュースなら飲めますか?」



制服を着た少女、トガヒミコが私の周りにパックジュースを並べる


小さいヒーローに負け黒霧が捕まってから何も飲まず食わずだった私は


立ち上がる事が出来ないくらい筋肉も落ち


力なく地面に横たわっていた


ずっと私の前に姿を見せなかった死柄木がやって来ても


動かせない手では個性を使うことは出来ず


呼吸以外何も出来ずに居た



「もったいない、もうこの個性は回収しよう」



以前と雰囲気の変わった死柄木が私に近づき、触れる


何かが抜かれる感触の後に触れられている場所がパキパキと崩れていくのを感じる


無抵抗に朽ちていく中


突然太陽のように笑う男の子の顔が思い浮かんだ


あの子もよく小さな雲に乗せて飲み物をくれてたっけ、、、








そうだ


思い出した


私はヴィランでも子供でも無かった


白雲朧


彼や仲の良かったクラスメイトと共に将来ヒーロー事務所を作ろうと


夢を見ながらヒーローを目指し雄英高校に通っていたんだ


でも派遣された現場で朧と共に子供の命を優先し


自分達の命を顧みなかった結果


私は搬送先の病院で医者に身体を改造され子供の姿になり


その際記憶と元の個性を失ったとは言え


沢山の人を護る為に使うはずだった手で


沢山の人を殺してしまった


取り返しのつかない、後悔も何も手遅れな人生になってしまった、、、







でも最期に貴方の事を思い出せて良かったよ、朧


君はあの時助かったんだろうか


アジトへ襲撃に来たヒーローの中に消太とひざしの姿はあったけど


彼の姿はなかったな


ホワイトアウトして行く意識の向こうで


温かい彼に抱きしめられた気がした




[ 31/32 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -