1
ひんやり刺すような冷たさの空気と
一瞬にして現れた部屋を包む氷
「、、、、悪い、寒かったよな」
そう言って轟君は左手を氷に当てて温度を上げていく
何度見ても思ってしまう
「、、、、綺麗だね」
「は?」
「ずっと思ってたけど轟君の個性と眼って綺麗だよね!澄んでるのに温かみがあると言うか!」
「、、、、、、」
「ごめん、変な事言ったよね、忘れて!」
ポカンという表現が正しいのかわからないけど
少し口を開けて何も言わなくなった轟君に
何訳わかんないこと言ってしまったんだと恥ずかしくなり
先生の居る所に足早に向かう
轟君はそんな私に相変わらず無言でついてきてくれたが
先生からのダメ出しを聞いている時や
他の子の演習をモニターで見ている時も
轟君からじっと見られている気がして内心気が気じゃない
そう言えば最近雰囲気が柔らかくなったから忘れていたが
彼はあまり個性とかについて触れられるのを嫌がっていたような、、、
悪い意味で言ったわけではないけど
気にしてる側からしたら良い気はしないよなと
クラスメイトに嫌われてしまった事より
無神経に傷つけてしまったかもしれない事にとても後悔している
[ 8/32 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]