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寮を出ようとしたところで人影が見えたので
思わず身構えるとレイン先輩だった



「こ、こんばんはレイン先輩。今中庭に伺うところでした」


「あぁ、悪いな」


「いえ、、、」



静かに歩く先輩についていくと
中庭ではなく校内の森に入ってすぐの川近くに着いた



「あの、、、先輩?」


「ここに座るといい」


「はい、、、」



先輩が2つ並んだ切り株の片方に座ったので
反対側に座る


距離が近い



「、、、最近何か困ることはないか?」


「フィン君達のおかげで楽しくすごせてます!」


「、、、フィンから聞いている」



やっぱりフィン君が気になるのかな?
良いお兄さんだ、、、と思っていたら


私の右肩に先輩が頭を乗せた


「レレレレイン先輩!?どうしたんですか!?」


「少し、このままで居させて欲しい」


「はっ、はい、、、」



私の肩に頭を乗せたまま
月明かりでキラキラ揺れている川を見つめる先輩


暫くその状態のまま静かな時間が続いたので


私の心臓の音がレイン先輩にも聞こえてしまうのではと1人心の中で焦ってしまう



「、、、、弟にも嫉妬するなんて情けないな」


「えっ?」


「いや何でもない。明日も早いだろう、部屋まで送らせてくれ」


「っ!!」


「、、、嫌か?」


「嫌じゃ、ないです、、、」


「そうか」



立ち上がった先輩に続いて立ち上がると
右手が先輩の手に包まれる


びっくりしたのと、何だか恥ずかしいのとで
きっと赤くなっている顔を上げられないでいると
フッと笑って私の手を引き、歩き出す先輩


今までこんな雰囲気になった事なんてなかったのに
距離の近さや私より大きい手に繋がれている事が夢みたい


でもやっぱりレイン先輩は落ち着いているように見えて
異性と手を繋いで歩くくらい慣れているのかもしれないと思うと


胸の辺が苦しくなる



「、、、、、」


「あの、ありがとうございます。送って下さって」


「あぁ、、、」



私の部屋の前に着き立ち止まると
繋がった手はそのままで先輩は黙り込んでしまった



「あの、、、えっ?」


「今の時期は朝も冷える。温かくして寝ろ」


「はっはいっ」



繋いでいた手を引かれたと思ったら優しく抱きしめられ
耳元で先輩の低い声が響く



「会えてよかった、、、また手紙を送る」


「はい、おやすみなさい」


「、、、、おやすみ」



抱きしめられたのも驚いたが
ランプの灯りでもわかるくらい
先輩の顔も赤くなっていたのに気付いてドキドキと体中の血管が脈打っている気がする


先輩は魔法局の仕事もあって忙しいだろうから
会える時に会いに来てくれたのかもしれないと気づいてから


中々顔に集まった熱が下がらなかった







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