2 「オーター、僕の居ない間にマリンを口説かないでくれますか。彼女は僕の部下です」 「カ、カルドさん!」 「、、、、」 突然声がした方を見ると 丁度扉からカルドさんが入ってきたようだった オーターさんは眉間に皺を寄せながら口を開いた 「、、、働く環境は本人の意向に合わせて変えるべきだ」 「マリンが何か相談事でも?」 「いっ、いえ、、、」 表情は笑っているのに声色が笑っていないカルドさんと 少し怒ったような顔で私を見つめてくるオーターさん 正直2人の神覚者様に挟まれて心臓がバクバクしている オーターさんは一度視線を逸らした後 優しく私の頭にポンっと触れて立ち上がる 「はぁ、、、また来ますマリン」 「あっ、お、お疲れ様です!」 オーターさんが部屋を出て行った後 カルドさんもため息をついた 「やれやれ、こう何度も仕事の手を止められるのは困りますね」 「ご、ごめんなさい、、、」 「君を責めている訳ではないんですよ。顔を上げてください」 そっと指先で顎を持ち上げられる 手袋が少しくすぐったい 「今日はマリンにこれを渡したくて早く戻ったのですが、正解でしたね」 そう言ったカルドさんが魔法で手元に 白い小さな花の集まって可愛らしい植物がラッピングされた物を出した 「これは、、、?」 「ガマズミという植物です。本来落葉低木なので花が咲いた後に赤い食べられる実をつけるのですが、白くて小さな花がまるでマリンのようなので購入してしまいました」 「わっ、私はこんなに可愛らしくないです、、、」 「マリンは自分が思っているより愛らしいですよ。少し目を離すと悪い虫が寄ってくるくらいにはね、、、」 「っ、」 先程離れた手で今度は頬を撫でられる 目は笑っているのに雰囲気がなんだか怖い 「さぁ、オーターのせいで止めてしまった仕事を再開させますか」 「は、はい!」 パッと手を離して自分の席に向かうカルドさん 直属の上司だけど、未だに彼の事がよくわからないでいる カルドさんもそうだがオーターさんにも毎度話しかけられる理由がわからない もしかしたら気が付かないうちに何かやらかしていたのかも、、、 上司以外の神覚者様にも目をつけられてしまっているせいか 私は他の局員に少し距離を置かれてしまっている気がする、、、 まさか仕事内容以外で悩むことになるなんて 魔法局への就職が決まって喜んでいた自分に教えに行きたい 私はそっと頂いたお花をデスクに置いた [ ← | → ] |