2 「貴様はこいつ等を劣等生と言ったが、何もわかっていないようだな」 「あぁ?」 私を抱き寄せたままランス君が先輩の方を向く 「俺は奴の言葉で大切なことを思い出せた」 そして左手で杖を構える 「こいつ等を劣等生と罵っていいのはこの俺だけだ」 「グラビオル・セコンズ」 「!!」 ランス君が魔法を唱えた瞬間 光る柱の様な物が複数浮かび上がる 「トゥーチャーポール」 柱に囲まれた化け物が磔にされるように身体を広げた 「そうだ、その柱は個々に強力な重力を発生させる。柱自身に向かってなそして、柱に囲まれたその化け物は四方から重力に引っ張られ」 「霧散する」 バァンッ!! という音共に泥の化け物が弾けた 「、、、かっこいい」 思わずつぶやいてしまった言葉に自分で焦る 妹さん以外興味のない彼に、こんな言葉は嫌悪感しか抱かれないはず 何とか言い訳しようと彼の方を見上げると 「っ/////」 「えっ」 予想外にも顔を赤くしてこちらを見る目は見開いていて 私も何も言い訳出来なくなってしまった 私を抱き寄せたままだった事に気づいたのか 私の腰に回っていた右手をパッと離して 先輩の方に向き直すランス君 少し顔が赤いままだ、、、 「貴様のだろう、落ちていたぞ」 先輩に向かってランス君が何かを投げる 「随分使い古されているな、その参考書」 「!!」 「貴様の言う人間の価値とは何だ」 「、、、、」 「俺の親は世間体や自分の立場に何よりも価値を見出していた。貴様の言動を見るに俺と大差無い環境で育ったんだろ」 何か思い返すように目を伏せるランス君 [ ← | → ] |