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「環境が良ければ強くなるとお前は言ったな」



二本線の上級生との対峙
私を庇って泥の攻撃を受けたにも関わらず
いつも通りランス君は冷静だった



「あん?」


「貴様の持論だとどうやら、俺の居る環境の方が優れているらしいな」



圧倒的な魔力の差で、側で見ていることしか出来ない
なんなら足手まといの私の前に立つランス君は
言葉も佇まいも堂々としていて先輩も警戒しているようだった



「随分驕り高ぶってるなぁ1年、俺に勝ったつもりか」



先輩が何かフラスコのような物を取り出した



「「!!」」


「これは他の生徒から抽出した魔力の濃縮液っ」


「ランス君っ」


「下がっていろ」



眼の前でそれを飲み込むのをランス君は止めずに黙って見ていた



「俺達七魔牙はこの濃縮液を貰えるんだよ、特別になぁ!!!」


「っ!!」



先輩の魔力量が格段に上がったのを肌で感じて無意識に身体が震える
前に立つランス君がこちらを振り返ること無く
私の手をそっと握ってくれた



「今ここで証明してやる、どっちが正しいのかをな!」



「マッドロスセコンズ」



「マッドロデビルス!!」


「!!」



目の前に大きな泥の悪魔のような化け物が現れた


学校には二本線を持った人が複数居て忘れがちだが
そもそも二本線は10万人に1人の割合でしか存在しない
その二本線の中でもセコンズを使える人は限られていると言う


先程より圧倒的な存在感と共に感じる魔力量に
思わずランス君と繋がっている手に力が入る



「この魔法は、価値のない劣等生とつるんでるてめぇじゃ一生辿り着けない領域だぁ!!!」


「あっ!!」



目の前の大きな泥の化け物が襲いかかってきて
咄嗟に動けなかった私を抱き寄せて
私ごとランス君が避けてくれた


こんな状況なのに抱き寄せられている事にドキドキしてしまう




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