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「あれ、なんだろ」



放課後廊下を歩いていると視界の端で何かがキラッと光った


それは誰かの眼鏡だった



「落とし物ってどうしたらいいんだろ」


「おい」


「はい、、、えっ!?」



落ちていた眼鏡を拾いあげると誰かに声をかけられたので振り返る



そこには制服ではない人が立っていた



目が3の




「君はここの生徒ですか?」


「は、ふぁいっ」




3のまま平然と話しかけられるので思わず笑いそうになるのをこらえながら返事をする


3だけどニ本線だし、制服じゃないから先生かもしれないし、3だけど偉い人かもしれないし



「、、、震えている?どうかしましたか?」


「ひいぃ!だ、大丈夫ですぅ!!!」



私の声が震えていたので心配してくれたのか
3のまま近寄って来られたので思わず後ずさるも
距離感がバグってるのか、視力がバグっているのか思いっきり距離を詰められたので
意図せず壁ドンのような形を取られて悲鳴に近い声が出た



「どこか悪いんですか?、、、よく見えないな」


「うっ」



こんな至近距離じゃどう頑張っても視界に入ってしまうので
3を見ないようにうつむくと顎を持ち上げられる
一応目を凝らして見ているのか眉間にしわが寄っても目は3のまま


どうなってんのそれ、やめて、、、



「このあたりに何か落ちていませんでしたか?」


「何か、、、あっ!」



結局私がよく見えないのか眉間に皺を寄せながら聞かれ
そういえばと、まさかそんな典型あるわけないと思いつつ
人生で一番器用なんじゃないかと思うスピードで片手で眼鏡をかけてあげる



「は、、、?」


「えっ?」




目ぇ!!!!!!


3じゃなくなったしよく見たら神覚者様じゃん!!!


何で学校に居るの!!!!


何で3なの!!!!



「っ、」



私が1人脳内でテンパっていると
目の前の神覚者様の顔がどんどん赤くなってきた
心なしか私の頭の横にある腕と顎に触れている指が震えている気がする



「った、助かりました!!」



弾けたんじゃないかって勢いで離れてそう言うと
砂になって消えていった



もしかして、私との距離の近さでそうなったってこと、、、?



「そんなの反則じゃん、、、」



私の独り言は夕陽の差す廊下に吸い込まれていった






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