2 「貴女の働き次第では、魔法局で働く貴女のご両親の研究に力添えしてもいい」 「っ!!」 オーターさんが私の顔の横に右手をつく 反射的に逃げようとすると脚が何かに触れる 「あ、あのっ」 「貴女のご両親の研究は確か、行き詰まっていましたよね」 足元を見ると オーターさんの脚が私の両脚の間に入っていて身動きが取れない 「このままではツララは貴女のご両親を不要と判断します。そうなると貴女の家の代々続いてきた名家としての歴史は途絶え、今までのような生活は出来なくなるでしょう」 「、、、、、」 「私を見なさい」 「っ、はい、、、」 怖くて前を向けず俯いていると 彼の左手に顎を持ち上げられ強制的に目を合わせられる 「貴女はご両親を助けたくはないのですか?」 「た、助けたい、です、、、」 「ならばマッシュ・バーンデッドを選抜試験から排除しなさい。それが魔法社会の規律を守り、貴女の家族も守られます」 一見感情が無いように見えるのに 何か怒っているように感じるその目力に圧倒されて 上手く呼吸が出来ない 「は、い、、、」 「では期待していますよ」 パッと離れて オーターさんは反対側の扉から出て行った オーターさんの圧から解放され力が抜け その場に膝をついて深呼吸する 選抜試験に参加する以上、誰かとの対峙からは免れないが 1年生の、しかも魔法を使えない相手に初戦で何かするなんて 私には到底無理だ でももしやらなかったり失敗したら両親は職を失い、私に失望するかもしれないし そもそも学校にも居られなくなるかもしれない 刻一刻と近づく試験に怯えることしかできなかった [ ← | → ] |