2






「貴女の働き次第では、魔法局で働く貴女のご両親の研究に力添えしてもいい」


「っ!!」



オーターさんが私の顔の横に右手をつく
反射的に逃げようとすると脚が何かに触れる



「あ、あのっ」


「貴女のご両親の研究は確か、行き詰まっていましたよね」



足元を見ると
オーターさんの脚が私の両脚の間に入っていて身動きが取れない



「このままではツララは貴女のご両親を不要と判断します。そうなると貴女の家の代々続いてきた名家としての歴史は途絶え、今までのような生活は出来なくなるでしょう」


「、、、、、」


「私を見なさい」


「っ、はい、、、」



怖くて前を向けず俯いていると
彼の左手に顎を持ち上げられ強制的に目を合わせられる



「貴女はご両親を助けたくはないのですか?」


「た、助けたい、です、、、」


「ならばマッシュ・バーンデッドを選抜試験から排除しなさい。それが魔法社会の規律を守り、貴女の家族も守られます」



一見感情が無いように見えるのに
何か怒っているように感じるその目力に圧倒されて
上手く呼吸が出来ない



「は、い、、、」


「では期待していますよ」



パッと離れて
オーターさんは反対側の扉から出て行った


オーターさんの圧から解放され力が抜け
その場に膝をついて深呼吸する


選抜試験に参加する以上、誰かとの対峙からは免れないが
1年生の、しかも魔法を使えない相手に初戦で何かするなんて
私には到底無理だ
でももしやらなかったり失敗したら両親は職を失い、私に失望するかもしれないし
そもそも学校にも居られなくなるかもしれない


刻一刻と近づく試験に怯えることしかできなかった





- 7 / 43 -
[ | ]



×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -