1




「国見君ごめん、次の古文教科書見せてくれないかな、、、」


「、、、いいよ」


「ありがとう、ごめんね」


「、、、」



隣の席の国見君とは、北一の時も1年のクラスが同じで
会話こそ少なかったけど普通に無口な男の子って印象だったけど
高校で再会した国見君はちょっと話しかけ辛い男の子になっていた



「ごめんね、机寄せて貰って、、、教科書ありがとう」


「別に、、、」



授業が終わって机を離す
国見君は私が話しかけると毎回機嫌が悪そうな表情をする
もしかしたら気づいていなかっただけで
中学の時からそうだったのかもしれない
そう考えてしまってから、事あるごとに“ごめんね”を言ってしまっているが
私がそれを言う度に眉間のしわが増えてる気がする


隣の席になったばかりなので次の席替えまでにはまだまだ期間がある
それまでこの何とも言えない空気に耐えられるだろうか、、、
そもそも国見君も同じように我慢しているだろうから申し訳ない、、、
とにかく、次から教科書を忘れたら別のクラスの子に借りようと誓った




「国見、今日外走ってから体育館だって」


「わかった」


「宮内と席隣なんだな!」


「、、、」



休み時間、隣のクラスの金田一君が国見君に話しかけたついでに私に気がついた
彼は中学の時同様、普通に話てくれるから安心する



「うん、くじ引きで最近変わったんだ」


「いいな、うちの担任は1学期ごとしか変えないらしいから」


「えー、意外と厳しい先生なんだね」


「その代わり遅刻してもホームルーム中に着けばノーカンって事にしてくれるけど、俺達部活組は朝練あるからあんまし関係ねーけど、、、やべ、授業始まるから戻るわ!国見も宮内もまたな!」


「またねー!」


「、、、」



ほぼ無言だった国見君を気にすること無く
金田一君は自分の教室へ戻って行った
あと3分で授業が始まるけど、先生はまだ来ていない



「宮内って金田一とはよく話すんだな」


「えっ?」



いつも通り先生が来るまでボーっとしてようとすると
珍しく国見君が話しかけてきた



「確かに人見知りだけど、中学同じだった子とかは普通に話すかな、、、」


「俺も北一だったけど」


「うん知ってるよ、1年の時クラス同じだったよね」


「宮内って俺の事苦手なの?よく謝るし」



珍しく言葉が多いと思ったけど
いつも通り機嫌は悪そうで
何故か責められている気がする



「苦手というか、、、いつも怒らせちゃってるかなって思ってその、どうしたらいいかなって思ってます、、、」


「えっ?」



何だか一方的に責められている感じがするのも嫌で
少し正直に伝えるといつも無気力気味か怒っている表情しかしていなかったのに
びっくりした顔をされて私も驚く


そして右手を額に当てて、
あーくそ、まじか
とか小さくつぶやいているのが聞こえたところで
先生が教室に入ってきた




[ 51/74 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -