1





ペチッ



昼休み俺が自分の席から離れた時
丁度足を踏み出そうとした床に悲しい音と共に白い塊が落ちてきた



「あっ、、、」


「あーもったいな!でもマリンちゃん、うちのおかずあげるからそれは食べたらあかんよ?」


「うちのタコさんもあげるわ」




3日前にクラスメイトとなった宮内さんのおにぎりだったらしい
あまりにも悲しそうな顔で落ちたおにぎりを見つめる姿に
思わず一緒に飯食ってた子らが自分のおかずを渡し始める



「これは俺がほかすから宮内さんこれ食べてぇな?」



あまりにも寂しそうな顔をしとるから
落ちたおにぎりを拾って代わりに自分の持っていた手製のおにぎりを渡す



「えっ?、、、いいの?」


「ええよ、その代わりそれは落とさんでな」


「ありがとう宮君」


「治でええて」


「治君!」



宮内さんはふんわりした笑顔を俺に向けて
先ほど渡したおにぎりのラップを開いて口に入れる



「美味しい!!塩加減が絶妙だね!」


「朝から握った甲斐あるわぁ」


「治君が握ったの?皆のおかずと合ってすごいよ!」


「マリンちゃんほんまよお食べるな」



嬉しそうに俺のおにぎりと女子達が渡したおかずを食べる姿に
女子達も俺も自然と笑みが溢れる
転入初日から小さく華奢な体と裏腹に沢山食べる姿に
クラス全員驚いたのを覚えてる
本当に美味しそうに食べるのが癒し系な顔も相まってすでにクラスメイト全員に愛される存在になっている
特に女子なんかは自分等同じ歳なのに全員姉のように彼女を見守るもんだから
良い意味でとんでもない子が転入してきたなと思っていた



「今度宮内さん用の握ってくるからまた食べてや」


「ほんと!楽しみにしてる!」


「治がマリンちゃん餌付けしようとしてるわ」


「餌付け言うなや」


「マリンちゃん、治に何か頼まれても無視でええかんな、おにぎりだけ貰っとき」


「お前ら俺の扱い雑やな」





[ 42/74 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -