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日付が変わりそうな時間帯、タクシーを降りてマンションの入口で鍵をかざしてガラスの扉を開ける


大きくは無いが新しく綺麗めなこのマンションには去年引っ越してきた
小さなトレーニングルームがあったりセキュリティ面でも設備が整っていて気に入っている


エレベーターを降りて自宅の前に着きそっと鍵を開けてゆっくり扉を開ける
暗い玄関の照明を付けてもう一足の靴を確認して隣に靴を脱ぐ


洗面所に鞄を置いて手洗いうがいをして音を立てないように寝室に向かう
引っ越しと共に購入したダブルベッドで小さく丸まって小さく寝息を立てているマリンを確認し
そっと額に口づける
一瞬擽ったそうに身じろぎしたので起きたかと思ったが、小さな寝息が聞こえたので
安心と少し寂しさを感じながら寝室を出る


シャワーを浴びる為に自室に向かう途中で
リビングのテーブルに軽い夜食と
『おかえりなさい。温めて食べてね!』
というメモを見つける


外から帰って少し冷えていた体が温まるような感覚を覚えながら
レンジに入れて温めている間にシャワーの準備をする
優しさと愛情を感じるそれを頬張りながら、添えてあったメモを手に取り自室に向かう
あまり荷物の多くない自室で棚の色に合わせて買った黒い箱を開き、中にメモを入れる
マリンに知られたら引かれそうだが、マリンとの思い出の品や貰ったメモ等を保管している
この箱は結婚後の物で、結婚前の高校時代の物等はクローゼットの下の方に隠している
俺にとって初めての恋であり、恋人だったので
たまに見返すと当時を思い出してムズムズする





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