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そっと扉を閉めて
手を繋いだまま私と向き合う孤爪君
「昨日は、、、突然キスしてごめん」
「あっ、うん、、、、」
「その、言い訳になるんだけど、マリンに俺の事男として意識されたくて、、、でも俺、恋愛とかしたこと無いし、マリンも気にせず俺のベッドで横になるし、気づいたら体が動いてて」
「、、、、」
「でもクロが来て、マリンが部屋を飛び出ていくと思わなくて、、、その、俺とのキスが嫌だったならもう二度としないから、だからせめて、今まで通り俺と過ごして欲しい、、、」
「あ、えっと、、、」
珍しく沢山話す孤爪君にも、話の内容にも動揺して上手く思考がまとまらない
「マリンが嫌な事、もう絶対にしない、から、、、」
切望するように見つめられて
孤爪君の真剣さが伝わってくる
「その、私に何で、意識されたいの、、、?」
勘違いはしたくなくて
本当は確信的な言葉が欲しくて
孤爪君の言葉を思い出しながら見つめ返すと
大きな目を更に開いた後俯く孤爪君
「それは、、、、マリンの事が女の子として好きだからって言ったら、嫌かな」
「い、嫌じゃない!全然嫌じゃないよ!!私、孤爪君と居るのが居心地良すぎて、気づかないでいたけど、その、、、昨日、キス、してから
ずっと孤爪君の事しか考えられなくなっちゃって、でも勘違いとかだったらどうしようって思ったら胸が苦しくて、、、今日孤爪君が前みたいに話してくれなくなったらどうしようって悩んでたのっ」
「俺も、マリンと話せなくなるの嫌だった」
必死に考えながら言葉を絞り出すと
孤爪が優しく微笑んでくれる
「その、俺はゲームとかバレーの事しかよくわからなくて、女の子の好きな物とかわからないけど、マリンと恋人になりたい」
「わっ、私でよければ、、、」
「マリンがいいんだよ」
そう言って笑う孤爪君に
今朝までの不安が消されていく
手はどうする?って空き教室を出る時聞かれて
何か照れちゃうからって私が答えると
そうだねって笑って少し名残り惜しそうに手を離す孤爪君
友達としての孤爪君も
男の子としての孤爪君も
落ち着くんじゃなくて、孤爪君が私を落ち着かせてくれてるのかなって
手に残る彼の温もりをそっと握りしめた
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