「ホントだ、美味しいねこれ」
コーヒーゼリーといい、上に乗っていたクリームといい、
今まで食べた中で一番好きな味だった
「伊月先輩に喜んでもらえて嬉しいです!」
本当に嬉しそうな笑顔でそう言われると、期待して良いのかなって思ってしまう
「マリンちゃんはさ.....今好きな人って居るの?」
「えっ?」
キョトンとするマリンちゃん
これは居ないって反応であり、つまり自分の事を意識されていないんだと読み取れる
「ごめん、変な事聞いた.....ここのコーヒーゼリー美味しいから、今度からここに通っちゃおうかな...なんて」
話の切り替え方が少し強引過ぎた気がする
恐る恐る彼女の顔を見ると、嬉しそうな顔
「ホントですか?じゃあその時は誘って下さい!私も食べに来たいので」
無自覚って怖いなと思いつつ、俺も自然と笑顔になる
すごく遠慮されたけど、俺が2人分の支払いをした
そして数日ぶりに彼女の家までの道を一緒に歩く
「先輩もバスケ部なんですよね!先輩のバスケしてるところ見たいです!あと、黒子君と火神君と、日向先輩のバスケも見てみたいなぁ....」
「じゃあ見においでよ....」
「えっ?」
「秀徳から少し遠くなっちゃうけど、放課後毎日部活やってるからさ、来たいときメールしてくれればカントクに言っておくから」
「本当ですか!絶対見に行きます!」
「あぁ」
彼女の頭をまた撫でる
あぁ、もう彼女の家に着いてしまうのか
「今日はご馳走して下さってありがとうございました」
「いやいや、こちらこそ美味しいコーヒーゼリーのお店教えてくれてありがとう」
「また伊月先輩とどこかに行きたいです!」
「もうすぐIHの予選が始まるからさ、無事に全部の試合が終わったらまた誘うよ」
「はい!先輩達のこと応援してますね!」
「秀徳は応援しなくて良いの?」
「あっ、えっと....じゃあ秀徳と誠凛を応援します!」
「俺達が秀徳と戦うことになったら?」
少し意地悪な質問したな
嫌われちゃうかも
しかしそんな俺の不安はすぐになくなった
「そしたら、学校じゃなくて伊月先輩とか、学校の友達とか、出てる人を応援します!」
「....そっか、ありがとう。がんばるよ」
「はい」
俺が惚れた笑顔は、
ただドキドキさせるだけじゃなくて、
癒やしてくれる、安心させてくれる
あの笑顔でお願いなんかされたらきっと、なんでも聞いちゃうんだろうな
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