「もっもしもしっ!」
「もしもしイワン?起きてた?」
「う、うんっ。ブランケット、ありがとう....」
帰る前に起こしてくれたら良かったのに.....
その一言がいえなくて.....
「あのさ、ホントは今日直接言おうと思ってたんだけど、」
「うん....」
「イワン寝ちゃったから今言うね?」
「うん....ごめん....な、何?」
嫌な予感がして、額に汗が流れた
部屋は寒いのに....
「私達、別れよう?」
「えっ?」
僕の周りの時間が一瞬、止まった気がした
何故こんな時に、嫌な予感が当たってしまうのか....
「最初から思ってたんだ。私じゃ、イワンには合わないよ」
「そ、そんなことないよ!僕はマリンのこと...」
「だってイワン、煙草だって苦手でしょ?デートでだって、私と何話して良いのかわかんなくなって黙ったり、無理に話合わせたり、喫煙所付いて来たり....」
「僕はそれでも良いからっ」
「良くないよ、結局耐えきれなくなって何度かデートドタキャンしたり、無理して合わせるくらいなら付き合わない方が良い。今までありがとう。次はちゃんと、自分に合う人見つけなね?」
今までになく優しい彼女の声に、
涙が溢れた
「なんっ......でっ.....なんでっ....うぅっ.....」
彼女が置いていった、ブランド物の、チェック柄のブランケットを抱きしめた
それには煙草の臭いの他に、彼女の匂いが残っていて....
「うあぁぁぁぁぁぁぁんっ」
僕の涙の量が増えていくばかりで、
僕は彼女を忘れられない
彼女が置いていったブランケットや、
何度か僕の家に忘れていったライター、
もう自分は着ないからと言ってくれたスカジャンがある限り、
僕は彼女を忘れられない
でも全部、捨てられない、捨てたくない
彼女を忘れたくないから.....
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