アッシュ

頭の中で誰かが呼ぶ。ルーク、ルーク様、と繰り返し。……ルーク?ルークって誰だ。そんな奴、俺の知り合いにいただろうか。ああ、俺だ。そうだ俺だ、俺がルークだ。ルークだったんだ。
変わらないままの碧の目、赤い髪は、生まれついた王族の証だ。俺は燃えかすなんかじゃねえよ、屑が。長く伸ばした髪を握りしめ、自分の皮肉を蹴り飛ばすように一人でそう呟いた。けれど、眩しくてたまらない記憶をたまに忘れそうになるから、俺はすでに灰になりかけているのかもしれない。焔の色を宿した髪は、するするとこの手を滑り落ちる。
脆いばかりの灰みたいに。

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