源田と不動 人生なんてさよならの連続だと彼は言う。そんなのはつまらないし、寂しいことだと俺は答える。じゃあその連続を止めてみようか、俺とお前で。こちらをちらりと窺って、そう軽く返した彼が素直ではないことを知っているので、じゃあずっと一緒に居よう、とこちらも同じだけ軽く返した。うん、とそっぽを向いて、まるで気のない様子の彼の手は、ぎゅう、と服の裾を握りしめている。その白い指先が、これから訪れる冬を思わせた。 (なんだかその横顔、) (その白さが、) (さむい、) (ような) その手をゆっくり開いて握ったら、お前の手あちぃよ源田、と文句をこぼされた。不動の手は、想像していた通りで、やはり冷たかった。その一方、俺の手は温かい。その温度差が、彼に熱いと思わせたのだろう。けれどそれでも離さない。冬に備え、俺はお前に温度を分け与えよう。 これから、あたたかくなっていくように。 |