沖田と土方

赤い花々の中に土方は埋もれていた。胸には真っ直ぐに、鈍く光る刃が突き立てられており、そんな自分を沖田が見下ろしていた。沖田の腰に据えられた鞘からは柄が覗いており、彼を一番に強くする凶器はそこで静かに眠っている。声の出ない口で、そうご、と形作ると、沖田の空色がかげりを含んで揺らめいた。

「俺があんたを殺してやるつもりだったのに、勝手に死ぬなんて真似は許さねェ。死んだら殺してやりまさァ」

彼の言う矛盾を、上手く笑い飛ばしてやれないまんま、鈍っていく視界の中、降り落ちてくる雨に目を閉じた。ああ、いやに優しい感触がする。頬に触れた雫は、どうしてだか温かであった。
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -