太陽が照り付けて真っ黒な影を作る中、古いバスに二人乗り込んだ。開け放った窓からは生温い風が吹き込み、車体が進んでいくにつれ向日葵畑が見えてきた。青い空の下に広がるその黄色い色がやけに眩しくて、まぶたの裏に焼き付いて消えない。 「明るく上向きな向日葵が元気なのは一瞬のようなものだよ、すぐに元気を無くして下を向いて枯れて死んでいく。残るのはその欠片のような種だけだ」 そう言った彼は、もう窓の外に視線をくれてやることはなく、薄汚れたスニーカーの先を見ていた。下を向いている。すぐに元気を無くして下を向いて枯れて。 走るバスを流れる風を受けながら、欠片のような種さえ彼は残してくれないのだろう、とぼんやり思った。 君が死んでいく夏。もうじき夏も終わるよ。 |