シャンクスとマルコ 飼い馴らされた鳥は、檻から放たれ自由に空を飛んでも、野生にはなれず、やがて衰弱して死んでいく。 どこかで読んだ一文を、シャンクスはぼんやりと思い出していた。目の前にいる男が、まさにその通りであったから。 海を前に佇む彼の左隣に並び、筋肉が少し落ちてしまった腕を掴み上げ、骨ばかりが目立つ手の甲に口づける。 「俺がお前を囲う檻になろう」 「……冗談じゃねぇよい」 嘲笑うような口ぶり、表情の彼は、いやに引き攣った笑みを浮かべる奥で、頼りない灯のように、ぐらりと瞳を揺らがせた。その表面を舐め上げたなら、きっと塩辛い味がすることだろう。孤独で広大な空よりも簡単に彼を殺めてしまえる海によく似た、舌や傷口に染みる味。 |