サドル低すぎだとか空気ちゃんと入れろだとかチャリ部のマネージャーのチャリとは思えないだとか一通り文句言われたけど結局荒北はわたしを後ろに乗っけてわたしの自転車を漕いでくれている。この人ってほんとに優しい。
「ねー荒北」
「あンだよ」
「大好きだよ〜」
少し自転車が揺れた気がした。見上げてみるとすぐ上に見える耳は赤くなってた。可愛い人だなぁ。
「…ンだ急に」
「わたし荒北の彼女でよかったな」
背中におでこをくっつけて甘えた。荒北はいつもみたいにるせーよってうざそうに言ったけど耳は真っ赤なままだった。色んなものを背負って上り坂も果てのない真っ直ぐな道もどこまでも運んでしまう彼が好きだ。
.