「起きたのか」
「眠ってないのよ」
時計をみると深夜3時だった。暗闇の中、ベットで膝を抱えた彼女は窓からもれて床を照らす街灯の光を見つめている。
「おめぇはめんどくせー女だよな」
「あなたたちがおかしいのよ」
「そのおかしいやつらの仲間に、おまえもなるんだろう」
ベットのサイドテーブルに置いてある小さな箱から煙草を一本取り出し、側にあったジッポで火をつけた。ベッドの上、壁にもたれて俺の足元の のほうにいるネームはまだ一度もこちらを見ていない。
「おい、こっちにこい」
「…や」
俺の言葉に反してネームは自分の膝に顔を伏せた。こんなときにもかわいくねぇ女だ。
「おまえのせいで目が覚めちまったんだ。構えよネーム」
「無理よ…こんなときに」
灰皿に灰を落とす。泣いてるのか、声は少し震えていた。
「人を殺したのよ」
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