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家族以外で死んだ兄の墓を訪れる人間がいることをわたしは知っていました。

(兄はとても孤独な人でした。父も母も妹であるわたしも、兄を理解してあげることはできませんでした。家族以外の人間にもそれは同じでした。だから兄はいつでもどこにいても誰といても、必ず一人ぼっちでした。)

今日も彼は墓の前でタバコを吸いながら十分ほど花京院家の墓の前に立ち、去ってゆきました。

(行方不明になって、帰ってきた兄の姿は惨いものでした。お腹には大きな、まるでブラックホールのような穴が空いていて、わたしはそれに対する恐怖や拒絶や嫌悪や憐憫に押しつぶされそうになり、その場から逃げ出しました。その日は食べ物が喉を通りませんでした。)

その人は男性で、大柄な人で、雰囲気は兄と全く正反対のような人に思えました。彼はたとえ雨が続いても5日に一度は現れ、花を置いたりお線香をあげたり手を合わせたりすることもなく、ただ黙って墓を見つめながらタバコを吸いました。

(わたしは焼かれてしまう少し前の兄の横に立ちました。棺桶に収められた体には細かな模様が施された白い布が丁寧に被せてあって、ブラックホールは見えませんでした。だからわたしはそこで初めて兄の顔を見つめたのです。わたしは驚きました。兄の顔はとても穏やかなものだと気づいたからです。それはもう、わたしたちが見たことがないほどに。そしてそれからわたしはまた前と変わらず、食べ物が食べられるようになりました。)


「あなたは兄の友人ですか」

ある日わたしは思い切ってその人に声をかけました。彼はわたしの髪の色や顔に兄の面影を感じたのか、少し驚いた様子でした。

「…ああ。おれは奴の友人の一人だ」

男の人は学帽で顔を隠しながらそう言いました。

(兄は死んでしまいました。わたしも家族も悲しみました。しかし兄は、典明兄さんは、死ぬ少し前にやっと彼の理解者を見つけることができたのでした。)










ヒロインが承太郎に恋をしたとか、そういうわけではないつもりです…。夢とは呼べませんね。



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