「この体には生殖器も性欲もないんだ」
いずれ分かることだが、俺には打ち明けるのに勇気が必要だった。
「じゃあ、エッチできないの?」
「あぁ」
なまえという一人の女が欲しかった。しかし俺はセックスも家庭も望めないこの身体で、彼女の何を求めているのか。彼女が何を俺に求めるだろうか。
「ねえジェノスくんは」
気づけば彼女は一度も目を逸らさずにじっと俺を見つめていた。
「それなのに…わたしのこと、好きになってくれたの?」
柔らかくて優しい手が俺の無機質な手を握る。
「おまえ」
「こんなに素敵なことってないわ」
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ちょっと修正しました
セックスなしの付き合いってロマンがありますね