一撃 | ナノ





(今はわたしもいるし兄さんもいるし、あなたは一人じゃないでしょ、孤独でもないでしょ、寂しさならわたしが頑張って埋めるから、今よりもっともっといっぱいいっぱい大好きになるから、あなたの家族になるから、大切な人になるから、すぐ自分を犠牲にしようとしたり、復讐なんておそろしいこともやめて、平和に暮らせばいいじゃない、あんなやつ兄さんが倒してくれるじゃない、あなたが危険を侵すことないじゃない、何処へも行かないでよ、わたしを置いていかないでよ、こんなに大好きなんだよ、大切なんだよ)



「どうしたんですか」

人参を切っていたのに包丁を握る手が止まっていたみたいだ。夕飯を一緒に作っていたジェノスさんは少し心配そうにしていた。

「なんですか、何か言いたげですね」

わたしの顔を見てちょっと笑いながら彼は魚の焼け具合を覗いた。
わたしは彼と何度かキスをしているけれど、彼は前と変わらずわたしを妹のように可愛がってくれている。それが心地いい。わたしは彼のことが兄さんと同じくらいに大好きだったし、兄さんとは違う意味でも大好きだった。



「わたしもピアス開けよっかなーって考えてただけだよ」

伝えたいことはたくさんあるけど、たぶんこれから先ずっと彼には言わないと思う。わたしの意見はきっと間違っているのだ。わたしは夢見がちな、平和ボケした子どもなのだから。







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