WORLD2(さよなら世界)
2013/05/07 07:47

赤く染まった屋上で二人静かに息をする。
世界に二人だけ。
そんな心地にさえなった。

臨也は静雄を見つめながら言う。

「シズちゃんの理屈って子供だよね」
「…………」

途端、せっかくおさまりかけていた怒りが沸々とよみがえる。
おまえが言うか、と臨也を睨みつけた。

「……てめぇ、まだ殴られたりないってか」
「いや、事実を述べてるだけだよ。俺は」

体を寄せて脅すように言えば彼は逃げもせずに応えた。
お互いに満身創痍だが、回復は静雄のほうが早い。
だというのにその余裕はなんだ。

(だから嫌いだ、こいつなんて)

何もかも、見透かしたような顔をして――。

こっそりと唇を噛む。
静雄にとって臨也のもっとも苛立つところはそういった聡さにあった。
自分にはないもの。
羨望と嫉妬。そういったものを彼に対していだいている自覚は静雄にもあるのだ。



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