迷惑電話10
2013/04/14 23:57

(やっちゃった、って……まあ、あれをそれして、つまりそういうことなんだろうけど……!!)

来るべき時が来た、と思うべきなのか。それとも天変地異の前ぶれか。
とにかく二人の言い分を聞けば、新羅の気が遠くなったのも無理はない。
こちらの状況など知らない二人は好き勝手に説明を口にする。

『いや、言い訳させてもらうと、俺悪くないよ。そもそも酒飲もうって絡んできたのはシズちゃんだし。自分の財布が寂しいからって俺にたかってさぁ』
『いやいや、こいつがメシでも喰って休戦とか言うから。あんだけ暴れりゃ腹も減るっつの。で、金曜の夜だろ? 飲むだろ普通』

先に言ったのは臨也だ。
すぐに静雄が反論した。
どちらの言い分も、新羅からすれば「だからどうした」の一言ですむ。
しかし彼らはそれをよしとせず、非は自分にないと言い張るのだ。

(ていうか、殺し合いのあとに並んでよく飯が喰えるな、おい)

突っ込みは胸中に押しとどめる。
どうせ言っても無駄だ。
案の定、彼らは勝手な会話を延々続けている。

『酔ったのは、まあ、自己管理ができてないって言えばそれまでだけど……ほんと、そのあとはマジで俺悪くない。だって酔ったこいつに拉致監禁されたもん』
『違う。酔ったこいつが帰りたくないとか言うから、担いで家に連れ込んだだけだ。拉致も監禁もしてねえ』
『手首についてた痣は? これ、縛った痕だろ?』
『なんか、トムさんが取り立て先の新商品くれて……赤い縄とかおまえに似合うかなって』

ひゅう、と口笛の音がした。
臨也がからかいまじりに吹いたらしい。



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