迷惑電話9
2013/04/12 16:08

「何やったの! うあああああ! 聞きたくない! 聞きたくないけど好奇心に勝てない! この馬鹿野郎ども!」

矛盾に満ちた叫びを電話口にぶつける。
はっきり言って、これ以上二人と会話することが自分のメリットになることは一切ないだろうと、新羅はわかっていた。
けれど悔しいやら情けないやら、好奇心に勝てない自分がいる。
この状況を理解したい。その思いが勝った。

『俺、おまえのそういうとこ好き』
『俺も。ほんと、いい友達だよな、おまえ』

葛藤の末に自分の好奇心を優先させた新羅に対し、臨也と静雄は仲よく言った。
それがまた神経を逆撫でする。

「意気投合すんな! 君らそういう感じじゃなかっただろう、ほんの数日前まで! 池袋で殺し合ってたじゃん! 僕見たよ!」

『あー……』
『うー……』

これまでの関係性はどこに。
そのことを問うと、二人は途端、口を濁す。
よくわからない音を発する彼らに対し、新羅はしばらく沈黙したのち、息を吐き出した。

「………………で?」

一言。
問いかけにはそれで十分だ。
二人は揃って――。

『『やっちゃった』』

「…………」

答えはすぐに帰ってきた。
ある意味予想どおり、そしてある意味ありえない現実を突きつけられ、新羅は達観した顔で宙を見つめた。



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