迷惑電話8
2013/04/09 18:28

見事なユニゾン。
二人に結論を否定され、新羅は呻く。

(夢じゃないなら、なんだってんだ)

頭が痛い。
人間、誰しも許容量というものがある。
それを超えられると、どうしたって処理が追いつかない。
新羅は眉間を指で抑えつつ、彼らの様子を窺った。とりあえず、落ち着いて現状を把握しよう。

(臨也から電話がかかってきて、なぜかえらく上機嫌で)

(で、なぜか臨也と静雄が一緒にいて、しかもなぜかものすごく仲がいい……)

酒に飲まれたとかなんとか。そんなことを臨也が言っていた。
この状況の原因は酒なのか。
そう思った瞬間、新羅はふいに彼らに問いかける。

「…………ねえ、君たちさぁ」

半眼になって目の前にいない二人を想像する。
脳裏には殺し合いという名の喧嘩ばかりの二人しか描けず、この状況にふさわしい情景が浮かばない。
ある意味、そのほうがいいのかもしれない。心臓には。
意を決し、二人に告げる。

「しらふだろ? 今」
『『…………』』

途端、沈黙が流れた。あれほど饒舌だった二人は何も言わない。
つまり、それは肯定だ。

「やけっぱちのテンションでかけてきたな?」
『『…………』』

確認するように言えば、さらに沈黙。
電話が切れてしまったのかと思うほどの静けさで、新羅は大きく息を吸った。



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