迷惑電話7
2013/04/08 20:32

臨也が新羅の存在を思い出したらしい。頼んでいないのに話題にあげてくれた。
そのことで、現実に引き戻される。

『あー、今新羅と繋がってるよ! なんか驚いてるんだって』
『へえ、おまえがビビるとか珍しいな。どうした新羅』

「…………」

直接声をかけられては、もう知らぬふりはできない。
おそるおそる、新羅は思い浮かぶ男の名を呼ぶ。声がか細くなってしまった。

「………………静雄?」
『おうよ』

あっさりとした返事。
それによって新羅のよくわからない望みは絶たれた。
もしかすると、否定の声が欲しかったのかもしれない。あるいは、冗談だ、という声が。
茫然と受話器を握っていると、あちらの二人は好き勝手なことを言う。

『なんで疑問形? こんな美声ほかにいないだろー』
『馬鹿、かわいいこと言うなって』

「…………」

何が正しくて何が間違っているのか。もう自分にはわからない。
必死に頭を回転させた新羅だったが、行き着いた結論は――。

「そっか、夢か」
『『夢じゃねえよ』』



prev | next
memo top


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -