迷惑電話4
2013/04/02 20:05
なんとも理解しがたい状況ではあるが、自分に電話してきたということは、一種のSOSだろうか。
新羅は訝しげに首をかしげ、おそるおそる問いかける。
「……診察行こうか?」
『マジにビビってんだな、おまえ』
その声音からこちらの困惑を察し、臨也は笑った。
(そりゃビビるわ!)
胸中で鋭く切り返すものの、実際には別のことを口にする。
「君こそ口調が崩壊してるぞ」
先ほどから違和感の要因の一つであるそれを指摘すると、彼が小さく笑った気配が伝わってくる。
臨也は口調を戻すことなく、新羅に言った。
『ぁあ? 俺は別に、いい子ちゃんのフリが必要な相手じゃないから、砕けて話してんだよ』
「……まあ、君って昔からそういうとこあったよね。……じゃ、なくて。だから、何があったわけ?」
横道にそれている。
いいかげん本題へ、と告げれば、彼は少しの間押し黙り――。
『――酒に飲まれた』
「…………」
よくわからない言葉を吐き出した。
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