迷惑電話3
2013/03/29 11:36
「かつてないテンションで深夜に電話されてビビるなとでも?! 眠気も吹っ飛んだわ!」
いつもは言葉にしなくても余計なところまで察してくるような勘のいい男に言い含めるというのは、どうも疲れる。
思わず大声を出してしまい、今の時間を思い出した新羅は慌てて口を噤む。
当の臨也は呑気なもので、電話越しだというのに首をかしげている様子がありありとわかる。
『えー……、おまえ、そんな、旧知の仲だってのに水くさいこと言うなよなぁ』
「旧知の仲だから! ビビってんの! ちょ、君、ヤバい薬でもきめた?」
今度は声量を抑えつつ尋ねる。
長いつき合いだ。互いの性格や言動は知り尽くしている。
だというのに、今夜の臨也はどうしたことか。
どうにも要領を得ない会話が続き、新羅は臨也に何かしらのトラブルがあるのではと眉をひそめた。
彼が薬に手を出すとも思えなかったが、この躁状態は人為的なものの影響な気がしてならない。
耳からは相変わらず緊張感のない、ゆるい声が聞こえてくる。
『まさかー、そんな不健康なことするわけないじゃん。……あー、でも似たようなもんかぁ』
(似たような……?)
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