迷惑電話2
2013/03/28 19:23
さて、意識を電話口に戻そう。
あちらではやけに上機嫌な臨也がぶつぶつと文句を言っている。
とりあえず話を聞く気がある旨を伝えると、彼はほがらかに笑った。
『いきなり黙るなよー。ビビるだろぉ』
「いや、僕のほうが全力でビビってる……」
新羅としてはこの男の奇抜な行動には慣れているつもりで、ある意味、深夜の電話ごとき可愛いものだ、という気持ちがあった。
それはいいのだが、やはり相手の普段滅多にない様子は気掛かりであり、不安を誘う。
(いったい何があったんだよ)
素直な気持ちをそのまま言えば、臨也は驚いた声をあげた。
『ええ? おまえがビビるようなことあったのか? 何、運び屋になんかあった?』
「セルティは今日も美しく健常だよ! ビビってんのはおまえにだ! 臨也!」
『俺ぇ? なんで?』
どうにも噛み合わない。
そもそも、口調も怪しい。
溜め息つき、その少しあと、新羅は息を大きく吸い込んだ。
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