迷惑電話1
2013/03/26 22:26

その日、深夜にかかってきた電話になぜ出てしまったのか。

『あ、新羅ぁ? あはは! こんばんはー。なんかおまえ、電話でも胡散くさいなぁ』
「…………」

岸谷新羅は出るなり耳に届いた声に、数秒前の自分の決断を責めたい心地になっていた。

(うあー……なんでだ、僕の馬鹿)

『もしもし? 聞こえてる? おい新羅』
「……聞こえてる」

深夜だというのに、なぜか異様に機嫌のいい友人の声が響く。
かかってきたのは通常用の携帯で、決して緊急用ではなかった。
取る必要はなかったのだ。なのにどうして自分は!と一瞬の間に後悔をすませ、新羅は起こってしまったものは仕方がないと、電話に向き直る。
妙な様子の臨也は数少ない友人なのだ。たとえ深夜で、はなはだ迷惑な電話であろうと、一応話を聞こうという気持ちはあった。



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