幸福宣言13
2013/03/04 09:52

「いって……あー、掃除しなきゃ」
「…………」
「いつまで拗ねてんの?」
「……拗ねてねえ」
「それを拗ねてるって言うんだよ」

スッキリとした顔の臨也はわだかまりはないようだが、俺は複雑だった。
わかってはいる。
ひと言、謝ればいいのだ。謝って、仲直りしようと言えばいい。
臨也は笑って許し「俺もごめんね」と言う。それはわかりきっていた。
なのに、俺はそれが言えない。

別にプライドが邪魔をするだとか、不満があるからではない。
悪いと思っているのも、仲直りをしたいのも本当だ。
簡単に言えば、超のつく不器用なのだ。ただでさえ口下手な俺だが、今も口が動かない。

仕方なく、俺は床に座ってこっちを見ている臨也に犬のようにすり寄る。
鼻先を肩口にあて、すん、と息を吸う。彼は何も言わず、好きにさせてくれていた。

(呆れてんだろうな。……いつものことだけど)

悪いな、とは思うのだ。毎度のように遠回りしてしまう自分が情けない。
せめて態度で示そうと、俺は臨也に顔をすりつけた。



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